先週のニュースで厚生労働省が塩野義製薬が承認を求めていた新型コロナウイルスの飲み薬について、結論を見送りしたというニュースが報道されていました。 新型コロナの飲み薬「ゾコーバ(販売名)」は、主に無症状や軽症の人向けで、塩野義製薬は「緊急承認制度」を適用しての承認を求めていました。 厚生労働省の専門部会は、「さらに慎重に議論を重ねる必要がある」として結論を見送りました。 これまでの臨床試験で、体内のウイルス量を減少させる効果は確認されていますが、臨床症状の改善は示されていないといった指摘も出たということで、来月に再度審議を行い、結論を出す方針だそうです。
コロナウィルスに対する飲み薬が普及すれば、感染拡大のリスクは下がります。日本の製薬会社が治療薬の開発を行っているというニュースは応援したいですし、国には安全に国民が使えるようしっかりした審査をしてほしいと思っております。今回は2022年6月現在の日本で使用されているコロナウィルス治療薬についてまとめてみたいと思います。
経口抗ウィルス薬
経口抗ウイルス薬とは、新型コロナウイルス感染症に患者に投与できる治療薬(飲み薬)のことです。令和3年12月24日に抗ウイルス薬「モルヌピラビル」(販売名:「ラゲブリオ」)が特例承認されました。また、令和4年2月10日に抗ウイルス薬「ニルマトレルビル・リトナビル」(販売名:「パキロビッド」)が特例承認されました。
現状、安定的な供給が難しいことから、供給が安定するまでの間、国が買い上げ、治療を行う医療機関及び対応薬局に無償で提供しています。医師が処方箋を対応薬局に送付し、薬局は患者の自宅等に配送することで処方されます。
ラゲブリオ(モルヌピラビル)
- カプセル製剤 200mg/個
- 対象
- 投与の時点で発症日から5日以内
- 18歳以上
- 妊婦又は妊娠している可能性がない
- 用法・用量
- モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。
- 機序
- SARS-CoV-2 における RNA依存性 RNA ポリメラーゼに作用することにより、ウイルス RNA の配列に変異を導入し、ウイルスの増殖を阻害する。
パキロビットパック(ニルマトレルビル/リトナビル)
- 錠剤(ニルマトレビル150mg/リトナビル100mg)
- 対象
- 投与の時点で発症日から5日以内
- 成人または12歳以上かつ体重40kg以上の小児
- 用法・用量
- ニルマトレビルとして1回300mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与する。
- 機序
- SARS-CoV-2 のメインプロテアーゼに作用し、その働きを阻害することによりウイルスの増殖を阻害する。リトナビルは、ニルマトレルビルの代謝を遅らせ、体内濃度をウイルスに作用する濃度に維持する目的で併用される。
- 注意点
- 併用を注意すべき薬剤が非常に多い。CYP3Aを強く阻害する。また、ニルマトレルビル及びリトナビルはCYP3Aの基質である。他の薬剤との相互作用は、可能なすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、併用に際しては用量に留意して慎重に投与すること。もしほかの薬を常用されている場合は医師、薬剤師にご相談ください。
新薬ゾコーバに期待される役割
軽症者も使える国産初の新型コロナの飲み薬として期待される。ウイルスの増殖を妨げる作用があるとして、軽症や中等症の患者への使用が想定されている。
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