薬剤師余りと地方の薬剤師不足の矛盾

薬剤師の働き方改革

先日、薬学部に関するニュースを目にしました。

文部科学省は22日、大学の6年制薬学部について、早ければ2025年度から原則、新設や定員増を認めない方針を明らかにした。薬学部の設置が相次いだことで、今後薬剤師の供給過剰が危惧されること、学生数が入学定員を大きく下回ることなどの問題が起こっています。

薬学部は2006年度には66大学67学部でしたが新設が相次ぎ、2021年度には77大学79学部となっています。

不足する地方の薬剤師

薬剤師は都市部に集中し地方では不足しているという情報もあります。地方で不足しているという事は薬剤師一人当たりで医療提供を必要としている人(高齢者)の数が多い場所と定義して考えてみます。

薬剤師1人が支えている高齢者数が多い二次医療圏※、つまり薬剤師の需要が多い二次医療圏は、そうでない地域と比較して、人口に関係する指標については、「人口が少ない」「高齢者人口が少ない」「高齢化率が高い」「人口密度が低い」という特徴がみられました。また医療資源に関係する指標からみた特徴としては、「病院数が少ない」「薬局数が少ない」「薬剤師総数が少ない」「病院に従事する薬剤師数が少ない」「薬局に従事する薬剤師数が少ない」という特徴がみられた。

※二次医療圏:二次医療圏は、健康増進・疾病予防から入院治療まで一般的な保健医療を提供する区域で、一般に複数の市区町村で構成されている。医療計画は、この二次医療圏を中心に立案される。具体的には、二次医療圏ごとに、医療体制(病床数、医師・看護師等の数、診療所施設数など)が計画される。

薬剤師1人当たりの高齢者人口が多い二次医療圏の特徴

■人口に関係する指標からみた特徴(→人口が少ない地域、高齢化率が高い地域)

  • 人口が少ない高齢者人口が少ない
  • 高齢化率が高い
  • 人口密度が低い(ただし面積にはあまり相関がみられない)

■医療資源に関係する指標からみた特徴(→医療資源が乏しい地域)

  • 病院数、薬局数が少ない
  • 薬剤師総数が少ない
  • 病院、薬局に従事する薬剤師数が少ない

薬剤師の地域偏在解決に向けて

多くの医療系転職サイトでは不足地域で働く医療従事者に向けて好条件での待遇を提示しているのをよく目にします。ただし金銭や住居的な目線ではなく、働く場所で提供する医療の内容や、地域に住むことで経験できるメリットが見えにくいことがあります。

今はリモートで情報をたくさん発信し、得ることのできる時代ですから、薬剤師を必要としている地域と充足している地域が情報交換し、薬剤師交流などができれば、一時的な薬剤師の派遣などもできると思います。

緩和医療に従事している私としては、地域の高齢者が多い地域に質の高い薬剤師が、無駄な医療を減らしてQOL(生活の質)向上に貢献できるはずです。このニュースを気に地方の薬剤師不足の問題について真剣に考えてみたいと思います。

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