先日認知症の新薬が発表されて認知症の治療は今後変わっていくことが予想されます。日本国内で認知症患者は2025年には700万人になると言われており、医療費の負担、福祉問題など課題は山積みです。我々が今すぐできることは、認知症を予防する生活習慣をしっかりと身につけること、その習慣を普及させることだと思います。
認知症予防の習慣3選
- 軽い運動を継続的に行う
- 食生活を整える
- 家族・隣人・社会との人間関係を維持する
認知症を予防する習慣というと難しそうに思われるかもしれませんが、科学的にも証明されていることは当たり前のことだけでいますぐに始められます。
認知症予防のための運動習慣
高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病などのメタボリックシンドロームは、脳血管性認知症だけでなく、アルツハイマー型認知症においても危険因子と言われています。メタボリックシンドロームの予防、つまり運動や身体活動を増やすことが、アルツハイマー型認知症の発症を減少させる可能性を示しています。
認知症予防のためにどのような運動をすればよいのでしょうか。まずは週2〜3回以上、30分以上運動をすることです。主としては歩くことがすすめられます。週3回以上30分以上の運動を行ったものは、認知機能の低下するものが有意に少なく、高齢者の認知症の発症を減少させていることを示しています。
歩くこと以外にも筋力トレーニングと有酸素運動の組み合わせが効果的という報告もあります。いずれにしても継続的に続けられる運動をおこなって行くことを心がけましょう。
認知症予防のための食事
認知症になりやすい食事と言われているのが以下の3つです。
- 野菜と魚を嫌い、肉だけを好む
- 食事の代わりにお菓子やケーキを食べる
- ビタミンB群、C、E、ミネラルの摂取が少ない
魚は認知症予防に効果的というデータはよく挙げられています。具体的には、まずコレステロールを減少させる不飽和脂肪酸DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含む魚、特にサバ・イワシ・サンマなどの青魚です。米・タフツ大学がおこなった調査によれば、魚を週2回食べている人は、月1回しか食べない人に比べてアルツハイマー病の発症は約41%減少するという結果が出ています。
また、血中コレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあるレシチンを多く含む大豆製品です。血栓の主成分フィブリンを溶かす働きをもつナットウキナーゼを含む納豆も有効な食品です。
社会活動への参加
定年退職すると今まで仕事でしか社会とのつながりがなかった人が繋がりを失うことがあります。これも一つの認知症リスクとなり得るのです。そうならないためには、趣味を持ち日々思考を止めないことが重要です。運動のコミュニティや知的活動のコミュニティ(英会話、読書など)に参加することがおすすめです。私自身も患者さんに頭を使う趣味と体を動かす趣味を一つずつ見つけるといいよと言われたことが印象に残っています。
認知症の治療が一般化されるのはまだ先になりそうです。今できる当たり前の習慣を継続して行くことが自身の将来、日本の未来に繋がります。今日から健康的な活動を楽しくおこなっていきましょう!
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