前回の投稿ではがんを早期発見するためには「対策型検診」と「任意型検診」があるという事を学びました。
「対策型がん検診」というのは、国が推奨する、科学的な方法によってがん死亡率の減少が検証されたがん検診です。種類は以下の5種類あります。
- 胃がん検診
- 子宮頸がん検診
- 肺がん検診
- 乳がん検診
- 大腸がん検診
この五種類について一つずつ解説していきます。今回は「胃がん検診」についてです。
胃がんについて
胃がんは、50歳代以降に罹患する人(かかる人)が多く、わが国のがんによる死亡原因の多くを占めるがんです。
早期の胃がんは自覚症状がないことが多いですが、胃の痛み、不快感、食欲不振、食事がつかえるなどの症状がある場合には検診を受診せず、すぐに医療機関を受診する必要があります。
胃がん検診の対象年齢
前述の症状がない方で、胃がん検診が推奨される年齢は50歳以上の方です。
検診を受ける頻度
年に1度定期的に受診することが推奨されています。
胃がん検診の種類
胃がんの死亡率を減少させることが科学的に認められ、胃がん検診として推奨できる検診方法は「胃部X線検査」または「胃内視鏡検査」です。
「ヘリコバクターピロリ抗体検査」等は、現時点ではエビデンスが不十分であるため、として実施することは勧められていません。
上部消化管(胃部)X線検査
胃を膨らませる発泡剤(炭酸)とバリウム(造影剤)を飲み、胃の中の粘膜を観察する検査です。この検査は、胃だけでなく食道・十二指腸のがん疾患のほか、胃潰瘍や胃炎、ポリープなどを早期発見することが可能です。注意点としてはバリウム服用により便秘になることがあります。
胃内視鏡検査(胃カメラ)
口または鼻から胃の中に内視鏡を挿入し、胃の内部を観察する検査です。検査時に疑わしい部位が見つかれば、そのまま生検(組織を採取する)を行う事もあります。胃カメラも先ほどと同様に、胃だけでなく、のど(咽頭・喉頭)から、食道・胃・十二指腸までを観察することができます。
胃カメラで不安のが管が体内に入っていくことですね。不安が強い方などは状態に合わせて、麻酔薬を使うことがあります。良く使われる薬剤が、ミダゾラムという鎮静剤(眠るための薬)とペンタゾシンという鎮痛剤(痛みを抑える薬)です。これらの薬剤は全身麻酔とは異なります。胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査の時に使用するのは鎮静薬と鎮痛薬で、一般的にイメージする全身麻酔とは異なります。
基本的には胃のX線検査をして、精密検査は、胃内視鏡検査を行います。検査で疑わしい部位が見つかれば、生検(組織を採取する)を行い、組織診(悪性かどうかを調べる検査)を行うという流れになります。
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