漢方をカジュアルに「虚実」

薬膳カレー

漢方を勉強するに避けては通れない「気血水」という理論。特に「気」に関しては様々な視点から説明されています。

「気」という言葉は目に見えないものということもあり、怪しいもの、アニメの世界の空想的なものと思われがちですが、実は日常的にこの言葉は使われています。例えば、「気になる」「気に入る」「気を遣う」「気が滅入る」や「空気」「病気」「気候」など様々な熟語や表現で使われています。

薬膳や漢方をいざ取り入れようとする際に大事になってくるのが、自分の体の状態が漢方の考え方でいうどの状態に当てはまるのかということです。漢方の診断は「証」「虚実」「表裏」「寒熱」「六病位」「気血水」と様々な理論を使って行われます。多くの理論を用いると理解するのが難しく、漢方が複雑なものになってしまいます。

そこで比較的日常生活に寄り添った考え方として「気」を中心に考える「気血水」と「虚実」二つの理論を用いて考えると理解がしやすくなります。

虚実

虚実

気血水

気血水 図


【気】生命エネルギーかつ生理機能の原動力。全身を温め、外部の邪気から守る。血や水を生成し、それらが体外に漏れないようにする。

【血】全身に栄養を供給。精神活動の基礎。

【水】全身を潤し、身体をなめらかに動かす。

上記の「虚実」と「気血水」の理論を合わせた考え方を下図に記します。

気血水 イラスト2

上記の体質に有効な養生法を日常の生活や食事、そして漢方治療の視点からご紹介していきます。

①気虚

気そのものが弱まり種々の機能が低下し、元気のなくなった状態。「気」は消化器と考えることもできるため胃や腸などにも影響を与えます。精神的負担からくる食欲不振などの症状があります。

気虚の状態に適した漢方の治療は気を補うことです。気を補う漢方薬のことを補気剤と呼びます。代表的な生薬は人参、なつめです。

日常では温かく消化の良いものを食べることがおすすめです。代表的な食材として生姜があります。

②気滞

ストレスが増えてくると気の流れが悪くなり喉のつかえやお腹の張りが出てきます。

気滞に適した治療としてスパイスやハーブなどのアロマが気を巡らす効果を持つため、アロマテラピーがおすすめです。香りのよい食材を摂取することもおすすめでまさにスパイスカレーがマッチします。

漢方では気を巡らす効果のあるものとして、柴胡、枳実、陳皮などがあります。

③血虚

体の様々な部位に栄養を行き渡らせる「血」が不足した状態です。肌荒れや抜け毛などの症状が現れます。貧血なども当てはまり特に女性に多い体質でもあります。食事の偏りが大きく影響するためバランスよく食事をとれるように心がけます。

漢方の治療としては地黄が含まれる十全大浦湯や人参養栄湯が用いられます。

食材としては鉄分を多く含ものを意識してレバーや肉類を適度にとることをお勧めします。お肉が苦手な方は黒い食材(黒豆、ごま、)やドライフルーツ、ナッツ類もおすすめ。紅茶も有効です。

④瘀血

冷えやホルモンバランスの乱れから「血」の巡りが悪くなり汚れがたまって滞っている状態。

ストレスをためないよう適度な運動をして発散すること、体を冷やさないよう冷たいものの摂りすぎや、薄着に注意しましょう。

漢方としては駆瘀血剤としてせり科の川芎や当帰が含まれているものが用いられます。

食材としては辛みのあるにんにくや調味料としての酒がおすすめ。ウーロン茶やジャスミン茶も効果的です。

⑤水滞

津液の代謝が悪く体内に水分がたまる状態。むくみなどの症状が現れます。

腎臓や肺の動きをよくするためにも気を巡らす、香りのよいものがおすすめ。

食材としては利尿作用のあるハト麦を取り入れることがおすすめです。また汗をかく習慣をつけることも大切です。

漢方では水分バランスを調節する利水作用のある茯苓、沢瀉、猪苓などを含む五苓散などが有効です。

人によって当てはまる体質は全く異なります。該当する体質を判定し、それを改善する養生方法を日常生活の中で少しずつでいいので取り入れると、体の不調が改善していきます。

今回ご紹介した体質に合わせてこれから様々な養生法を紹介できたらと思っております。

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